「改正保険業法を考える」については今回のブログをもって終了とさせていただき、次回からは「顧客本位の業務運営を考える」のシリーズにしたいと思います。
さて「改正保険業法を考える」の最後は、「保険募集上の不適切な行為の禁止」についてです。
そんなことを言われなくても、良く知っていると言われそうですね。
保険業法や監督指針および関連法規や各種ガイドラインでは、保険募集に関して多くの禁止行為が規定されていますが、
保険業法第300条に記載されている「保険募集に関する不適切な行為」の9項目は、保険代理店に勤務する方ならいつでも説明できることが望ましいと思います。
1996年に改正保険業法が施行され、いわゆる金融ビッグバンとして様々な点で自由化されましたが、保険募集に関する法令の見直しは見送りとなりました。
2016年5月に「改正保険業法」が施行され、募取法から70年を経過して保険募集に関するルールが見直されることになり、
それまでの「不適切な行為の禁止」に加えて「積極的な顧客対応」が義務化されました。
つまり「してはいけないこと」に加えて「しなければならないこと」が追加されたのですが、これらのことに関してはこれまでのブログで説明いたしました。
ところで改正前から禁止されていた300条の「募集上の不適切な行為」9項目を、皆様は全て言えるでしょうか?
以下がそうですが、いずれも「顧客」を「契約者又は被保険者」と読み替えてお読みください。
①虚偽説明の禁止、重要事項の不告知
顧客に対して虚偽のことを告げること、または保険契約の契約条項のうち顧客の判断に影響を及ぼすこととなる重要な事項を告げないこと
②虚偽告知の教唆
顧客が保険会社に対して重要な事項(住所、氏名、他の契約の有無、事故歴や病歴など)について、虚偽のことを告げることを勧めること
③告知妨害、不告知教唆
顧客が保険会社に対して、重要な事実を告げることを妨げること、または告げないことを勧めること
④不当な乗換募集
顧客に対して、不利益となる事実を告げずに、既に成立している保険契約を解約させて新たな保険契約を勧めること
⑤特別利益の提供
顧客に対して、保険料の割引、割戻し、その他特別利益の提供を約束することまたは提供すること
⑥不当な比較表示
顧客に対して、他の保険商品との比較において有利な部分のみの説明をし、不利な部分の説明をしないこと
⑦断定的判断の提供
顧客に対して、契約者配当や剰余金分配など不確実事項について断定的判断をすること
⑧特別利益の提供を知りながらの募集
保険会社のグループ会社が、顧客に対して特別利益の提供を約束し、または提供していることを知りながら契約の申し込みをさせること
⑨内閣府令
その他顧客の保護に欠けるおそれがあるものとして、内閣府令で定める行為
以前からずっと変わらずに規定されていたこの9項目は、保険代理店に勤務する方ならすらすらと言えるようでありたいものですね。
次回に続く
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