改正保険業法への対応や「顧客本位の業務運営」の経営方針を徹底したいと思っても、
キャリアが豊富で新契約獲得が優秀な募集人の反発に抗し切れないという保険代理店の経営者の声を聞くことは珍しくありません。
「そんな面倒なことをしなくても契約は獲得出来ている。(システムへの)入力作業に時間が取られ、営業時間が少なくなり支障をきたす。」
と言う反発理由がほとんどの募集人の方に共通しています。
このような声に経営者は、無理して営業のやり方を変えて業績が低下し、募集人が反発を強めて辞めてしまわないかと不安がよぎるようです。
したがって年齢が60歳以上で成績が優秀な募集人には強制することを止めて
他の募集人や事務系のスタッフだけに対応を求めるやり方にしたという話を実際に聞いたことがあります。
結果は、社員間の強い不満を呼び起こし、社内の人間関係まで悪い影響を及ぼしたそうです。
こうした中途半端なやり方が不公平感を起こし、対応を免除された募集人はその既得権を決して離すまいとして難儀したと言います。
一度実行した経営方針や営業方針は、よほどの説得力がなければ簡単には変えられないものです。
保険代理店が、新しい金融行政方針に則した経営を徹底するには、経営者の強い決意が必要に思います。
経営者の意識が変わることなくして、募集人やスタッフ社員の意識・行動が変わることはないからです。
改正保険業法が求めている体制整備義務・情報提供義務・意向把握義務等は、金融事業に従事する全ての役職員に最低限の義務(ミニマム・スタンダード)として求められており、対応しないこと自体が業法に違反することになります。
この点では選択の余地は無いのです。
顧客とのやり取りの詳細を具体的に記録することは、実は募集人やスタッフ社員が自分を守ることでもあります。
法令を遵守することだけでなく、「言った言わないの問題」から解放されるからです。
保険会社における保険代理店の評価を、量中心から質中心へ変える動きが出ています。
高い品質が、結局は量の拡大と安定をもたらすと考えます。
ひたすら量の拡大を求め、量のみで社員を評価し続ければ顧客との利益相反が起きることは当然の結果と言えるかも知れません。
そして最後は顧客の信頼を失い、量を失うことに繋がります。
最近でも実際に起きた事例があり、皆様も新聞やTVでの報道でご存知だと思います。
また経営者がせっかく決意しても口頭だけで徹底するのは不可能で、まず明確なルールを作り経営者も含めて全員でそれを守ること以外に解決策はないと思います。
次回に続く
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